メリットいっぱい、M&Aとは?メリット・デメリットをわかりやすく完全解説!
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以前は「会社乗っ取り」や「ハゲタカファンド」など、なんとなく怖いイメージを持たれていたM&Aですが、近年は様々な経営課題を効率的に解決へと導く手段として人気が高まっています。特に、後継者問題を解決する有効な手段として注目されています。
売り手にとっても買い手にとってもメリットの多いM&Aについて、詳しく見ていきましょう。
そもそもM&Aとは
M&Aとは、「Mergers & Acquisitions(合併と買収)」を略した言葉で、読み方は「エムアンドエー」です。その名のとおり、会社を合併したり買収したりすることを意味します。
一般的には合併、買収、会社分割など「会社や事業の経営権」の移転を伴うことが多く、これを狭義のM&Aといいます。対して、業務提携や資本提携、合弁会社設立など、経営権の移転を伴わない協力関係を広義のM&Aと呼ぶこともあります。
日本のM&A事情
日本では1980年代にM&A仲介会社が誕生し、2000年代に入り急増、2019年には年間約4,000件のM&Aが行われるなど、実施件数は年々増加しています。
日本のM&Aが増加している主な原因は、中小企業のM&Aが増えたことです。大企業のM&Aが主に事業拡大や組織再編を目的としているのに対して、中小企業のM&Aは事業承継を目的としたものが多いのが特徴です。団塊世代の経営者の引退に伴って急増しました。現在では大企業・中小企業問わず多くの経営者が、会社の存続や事業の拡大などのためにM&Aを検討しています。
※中小企業の事業承継について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご覧ください。
中小企業の後継者問題はM&Aで解決できる!
M&Aの手法
M&Aの手法には多くの種類があり、「買収・合併・分割」の3つに大別できます。
特に買収には様々な手法があり、具体的には事業譲渡、株式譲渡、第三者割当増資、株式交換、株式移転といったものが存在します。
売却に用いる手法は、株式譲渡や合併、事業譲渡、会社分割といったものがありますが、どれが適しているかはM&Aを行う目的や売り手・買い手となる会社の事情によって異なります。例えば、会社そのものを売却するなら株式譲渡や合併という手法になり、一部の事業を売却するだけなら事業譲渡や会社分割が適しています。
さらに、「どちらがリスクが少ないか」「どの手法が手間がかからないか」なども、M&Aの手法を検討する際には重要です。適切な手法を選ぶだけでも成功率は変わるので、M&Aを行う際は目的やメリット・デメリットから慎重に手法を選択する必要があります。
M&Aのメリット・デメリット
M&Aには様々なメリット・デメリットがあります。ここでは中小企業のM&Aにおいて最もよく行われる「事業譲渡」と「株式譲渡」を例にとって、売り手(譲渡企業)と買い手(譲受企業)それぞれの視点から、M&Aを実施する際の主なメリット・デメリットを紹介します。
売り手 (譲渡企業) のメリット・デメリット
<売り手(譲渡企業)のメリット>
・事業承継問題の解決
・事業基盤の強化
・従業員の雇用維持
・創業者利益の実現
・個人保証からの解放
<売り手(譲渡企業)のデメリット>
・最適な買い手が見つからないリスク
・想定金額より低い可能性
・従業員のモチベーション低下
近年、団塊世代の経営者の高齢化に伴い、後継者問題に悩む企業が増えています。売り手の一番のメリットは、そうした後継者不足の解消や事業基盤の強化ができる点です。M&Aを活用することによって、今までの事業を存続させることができ、さらなる成長も見込めるのです。例えば大きな企業の傘下に入れば、その経営資源やブランド力を活かし、市場でのシェアを増やしたり、新たな販路を見いだしたりすることも可能でしょう。廃業を免れることにより、従業員も職を失わずに済みます。
M&Aが行われると、売り手側の経営者は会社を売却する際に多額の現金を得られ、それによって老後の資金を用意できるという点も非常に魅力的です。受け取る対価により新規事業を興すこともできるので、M&Aは後継者問題の解消に限らず、資金調達の手法としても盛んに行われています。
また、中小企業では経営者が金融機関からの借り入れの連帯保証を負っているケースが多くあります。M&Aの契約内容にもよりますが、これらの保証も経営権の移転により解除されるのが一般的です。
※事業承継について知りたい方は、以下の関連コラムもご覧ください。
一方で売り手のデメリットは、時間やコストをかけても良い買い手が見つからない可能性があるという点です。また、譲渡価額が想定した金額より大幅に低くなる可能性もあります。希望の条件での譲渡をかなえるためには、自社の強みや業界における立ち位置をよく理解したうえで、最適なタイミングでM&Aを行うことが重要です。専門のアドバイザーをつけることにより、これらのデメリットは減らすことが可能です。
そしてM&Aが行われれば、従業員の雇用やこれまで築き上げてきたノウハウは維持できますが、その一方で、労働環境や評価システムなどの変化により従業員の間に不満が生じる恐れもあります。モチベーションが下がった従業員は最悪の場合、離職することもあり得るため、M&Aを実施する際は事前によくコミュニケーションを取り、不安を軽減しなくてはなりません。
買い手(譲受企業)のメリット・デメリット
<買い手(譲受企業)のメリット>
・新規事業への参入
・既存事業の強化
・事業拡大に伴うコスト削減
<買い手(譲受企業)のデメリット>
・期待したシナジー効果が得られない
・融合に時間がかかる
・優秀な人材の流出
買い手がM&Aを行うメリットは、迅速な事業展開ができるという点にあります。通常、新規事業に参入するには莫大なコストと時間がかかります。しかしM&Aによって既に実績のある企業や事業を譲り受ければ、必要な人材やノウハウ、販路などがまとめて手に入ることになります。また、同業の企業や事業を買収することで、既存の事業規模を強化・拡大することも可能です。売り手側の事業との組み合わせでシナジー効果が期待できたり、仕入れや物流で生じる費用を抑えられたりと、強みを伸ばせるだけでなく、弱みも補強できます。このようにM&Aは事業を飛躍的に成長させつつ、事業拡大に伴う時間とコストを大幅に削減できるのです。
それに対してデメリットは、見込んだ利益を出せない恐れがあるという点です。買い手企業はM&Aによる相乗効果(シナジー効果)を上乗せした金額を買収価格としますが、事前の見立てが甘いと、想定していたシナジー効果が発揮されなかったり、むしろ組織統合による管理コストがかさんだりする可能性があります。このデメリットを回避するためには、しっかりと事前調査を実施したうえで、想定できるシナジー効果をできる限り正確に算出し、適切な価格でM&Aを実施することが大切です。
※シナジーについては、詳しくはこちらのコラムをご覧ください。
初心者必見!M&Aの最大の目的「シナジー」とは
企業にはそれぞれ異なった文化があり、システムや社内制度も統合する必要があるため、複数の企業が一つになるのは容易ではありません。従業員同士が衝突し、優秀な人材が辞めてしまっては大損失です。買い手側と売り手側双方が協力し、お互いの文化を尊重しつつ融合する必要があるでしょう。
まとめ
今回はM&Aとは何か、手法の種類やメリット・デメリットについて紹介しました。M&Aは売り手企業、買い手企業共にメリットが多い選択肢です。多少のデメリットはありますが、M&Aの知見を身につけ、入念な準備を行うことにより、様々なリスクは減らすことが可能です。そして売り手・買い手双方が満足な取引ができるよう、実際にM&Aを行う際には信頼できるアドバイザーの協力を得ることをおすすめします。弊社ポラリス・アドバイザーズでは、経験豊富なプロがお手伝いしますので、安心してお任せください。
また、M&Aでは、これまでの実績よりも将来性が重要視されることが多いため、日頃から自社の事業や業績、市場の動向に注意を払っておくとよいでしょう。